カーリースは本当にお得?車を購入する場合と比較してみよう

マイカーを利用したいとき、車の購入以外にカーリースという選択肢もあります。しかし、カーリースと購入では比較する機会が少ないため、違いが分かりにくい人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、カーリースと新車の購入で必要な費用を比較しました。

カーリースと新車の購入、必要な費用を比較

車とお金

カーリースと新車の購入に必要な費用を、以下の表で比較しました。

  カーリース 車の購入(ローン)
頭金 なし 必要
登録・諸費用 なし
※月額リース料金に含む
自動車税/軽自動車税
環境性能割
リサイクル料金
登録代行費用
車庫証明代行費用
ナンバープレート取得費用
自動車重量税
自賠責保険料
印紙代
納車費用
月額料金 リース料金 ローン返済額を分割払い
自動車税/軽自動車税 なし 年に一度
車検 車検基本料金
自動車重量税
自賠責保険料
印紙代
※プランによっては「なし」
車検基本料金
自動車重量税
自賠責保険料
印紙代
メンテナンス オイル交換
タイヤ交換
その他消耗品交換
※プランによっては「なし」
オイル交換
タイヤ交換
その他消耗品交換
その他 駐車場代
ガソリン代
駐車場代
ガソリン代

カーリースにおいて毎月支払うリース料金には、車両本体価格のほか各種税金や保険料も含まれています。

カーリースに必要な費用

カーリースは、リース期間内にかかる費用のほとんどが月額リース料金に含まれています。

「メンテナンスリース」といったプランを用意しているカーリース会社であれば、点検や車検の費用、オイルやタイヤなど消耗品の部品代・工賃も、リース料金に含めることができます。

なお、ガソリン代や駐車場代は、カーリースや購入に関わらず発生する維持費です。

車の購入に必要な費用

車をローン購入する場合は、頭金だけでなく自動車税や軽自動車税、自賠責保険料、自動車重量税、リサイクル料金、登録代行費用といった諸費用も必要です。

購入後も車の維持が必要なので、1年に1回は自動車税や軽自動車税を納税、2年に1回の車検で車検基本料金、自動車重量税や自賠責保険料、印紙代などの納税や支払いがあります。

では、カーリースと車の購入に要する費用の内訳も見ていきましょう。

カーリースと車の購入に要する費用の内訳を解説

車と税金

カーリースと車の購入に必要な費用は、以下のとおりです。

  1. 1. 車両本体価格
  2. 2. 各種税金
  3. 3. 自賠責保険料
  4. 4. リサイクル料金
  5. 5. 登録代行手数料
  6. 6. 納車費用
  7. 7. ナンバープレート取得費用
  8. 8. 車検費用
  9. 9. メンテナンス費用

上から順番に詳しく見ていきましょう。

内訳①:車両本体価格

車両本体価格は、自動車本体のみの価格を指します。

車種やグレードによって差がありますが、軽自動車なら100~150万円、コンパクトカーなら200万円前後、ミニバンなら400万円以上が目安です。オプションパーツや備品などは含まれていないので、注文することで価格は上がります。

ローンを組んで購入する場合は利息も発生しますが、契約時に設定された金利によって金額が異なります。

内訳②:各種税金

車を所有することで、3つの納税義務が発生します。

  • 自動車税/軽自動車税
  • 自動車重量税
  • 環境性能割

順番に説明していきます。

自動車税/軽自動車税

自動車税/軽自動車税は、毎年4月1日時点で車を所有する人に課せられる税金のことで、納付書は5月ごろに送付されます。

納税額は、以下のとおりです。

  • 普通車:25,000円~
  • 軽自動車:一律10,800円

所有する車の排気量が大きいほど税額も大きくなりますが、軽自動車は660ccのため一律10,800円です。ただし、どちらも初年度登録から13年・18年が経過すると税額が上がります。

自動車重量税

自動車重量税は、車両の重さによって課せられる税金です。

1年ごとに課税される税金ではありますが、新車登録や車検のタイミングでまとめて支払うことが一般的です。普通車が12,300円、軽自動車は9,900円からであり、自家用車の場合は0.5トンごとに課税額が上がります。

環境性能割

環境性能割は、車両の燃費性能に応じて課税される税金です。

低燃費な車ほど税額は低く、普通車は0~3%、軽自動車は0~2%の税率で課税されます。

内訳③:自賠責保険料

自賠責保険は「強制保険」とも呼ばれる保険であり、法律によって加入が義務付けられています。新車購入時と車検時に自動車重量税と同時に支払われることが一般的です。

新車購入時は、普通車が27,770円、軽自動車が27,330円です。

内訳④:リサイクル料金

リサイクル料金は、新車購入時に発生する料金です。

廃車時に発生するエアバッグやゴミがリサイクルされるほか、エアバッグに含まれるフロン類も適切に処理されます。料金は、概ね6,000円前後です。

内訳⑤:登録代行手数料

登録代行手数料は、管轄の運輸支局で検査登録を行うときに発生する費用です。

代行業者に支払われる料金であり、カーリースの場合はカーリース会社、車の購入時はディーラーに支払います。登録代行手数料の相場は、1万円~3万円です。

このほか、車庫証明を取得する際の車庫証明代行費用などもあります。

代行業者が管轄する警察署へ行って手続きを行いますが、こちらも1万円~3万円が相場です。

内訳⑥:納車費用

納車費用は、ディーラーから自宅まで納車してもらうための費用です。

ディーラーから自宅までの距離によって費用は異なりますが、30分以内の距離なら5,000円~1万円、2時間以内なら1万円~3万円が相場です。

内訳⑦:ナンバープレート取得費用

ナンバープレート取得費用は、ナンバープレート交付に必要な費用です。

管轄の運輸支局にて手続きを行いますが、取得だけで3,000円ほど(地域で異なる)、図柄入りや希望ナンバーといった特殊なナンバーなら6,000~1万円ほどの費用がかかります。

内訳⑧:車検費用

車検費用は、車検の際に必要な費用です。

自動車重量税や自賠責保険料などの税金も含まれますが、ディーラーや整備工場で車検を行う際は車検基本料が発生します。車検基本料はお店や車の種類によって大きな差があり、普通車なら4万円~7万円、軽自動車なら3万円前後が相場です。

ほかにも、法定24カ月点検、不具合箇所をチェックするテスターの費用、部品代や交換工賃といった費用も加算されます。

内訳⑨:メンテナンス費用

メンテナンス費用は、消耗品の交換や不具合箇所の修理に必要な費用のことです。

部品代や交換工賃もお店によって異なるほか、不具合の箇所や頻度によっても金額に大きな差が生じます。

オイル交換を例にすると、1回あたり5,000円〜1万円ほどの費用が必要です。

カーリースと車の購入、月々の料金と支払い総額をシミュレーションで比較

車検

カーリースと車の購入、それぞれの費用を場面ごとのシミュレーションで比較します。

想定する車はコンパクトカーのトヨタ・ヤリス(G、オプションなし)で、カーリース会社は「コスモMyカーリース」、ディーラーは「トヨタ」です。

カーリースは7年契約、車の購入も支払い期間7年(84回払い)、両者とも頭金やボーナス払いはないものとします。

シミュレーションする場面は、以下のとおりです。

  1. 1. 車を入手するための費用
  2. 2. 車を維持するための費用

以下から、順番に比較していきましょう。

場面①:車を入手するための費用

カーリースと車の購入、入手する際の費用を以下の表で比較しました。

  カーリース 車の購入(ローン)
自動車税/軽自動車税 - 36,000円
自動車重量税 - 24,600円
環境性能割 - 44,100円
自賠責保険料 - 27,770円
販売諸費用 - 56,050円
合計 - 188,520円

※4月に購入する場合の費用を掲載

カーリースは各種税金や保険料がリース料金に含まれているので、別途支払う必要はありません。一方の車の購入は、初期費用が約19万円かかります。

場面②:車を維持するための費用

維持する際の費用を、カーリースと車の購入で比較しました。

  カーリース 車の購入
支払い ・ファイナンス:月額27,830円
(総額2,337,720円)
・メンテナンス:月額34,320円
(総額2,882,880円)
返済:月額26,900円
(初回33,285円)
(総額2,265,985円)
自動車税 - 自動車税:30,500円×7年
車検 メンテナンスリースはリース料金に含まれる ・自動車重量税:16,400円
・自賠責保険料:20,610円
・印紙代:約1,000円
・車検費用:約100,000円
メンテナンス メンテナンスリースはリース料金に含まれる ・オイル交換
・オイルフィルター交換
・ブレーキオイル交換
・エアフィルター交換
・ワイパーゴム交換
・タイヤ交換
・ブレーキパッド交換
・バッテリー交換 など
その他 駐車代、ガソリン代 駐車代、ガソリン代

返済額は、初期費用や税金なども含むカーリースの方が高額です。

しかし、カーリースは毎年5月頃に納税する自動車税がリース料金に含まれていますが、車の購入は含まれていないので、毎年支払う必要があります。納税しない場合は、車検を受けることができないペナルティがあります。

また、メンテナンスリースの場合、車検やメンテナンスの費用も月々の料金に含めることができます。車検やメンテナンスの時期になれば決まった工場に持ち込めばよいので、そのたびに工場を探す手間もかかりません。

他方、車の購入の場合、車検やメンテナンスのたびに費用が発生するため、まとまった費用が必要になります。さらに、ディーラーだと工賃などが高額なことも多く、少しでも安く済ませるには別の整備工場を探す手間がかかります。

まとめ:比較の結果、総額の安さは車の購入で手間が少ないのはカーリース

マイカーでドライブ

カーリースと車の購入を比較すると、総額の安さは車の購入、手間がかからないのはカーリースです。両者の総額の差は購入とほとんど変わらないうえに、カーリースには各種税金がリース料金に含まれています。

また、カーリースは走行距離制限があるため、車で長距離を走る機会が少ない人におすすめです。普段お仕事などで忙しく車のメンテナンスに時間をかけられない人や、車のことに詳しくない人にもぴったりです。

一方、走行距離の長い人は車の購入を選ぶ方が費用対効果は高くなります。また、カーリースはリース契約満了時に車の原状回復による追加費用がかかる場合があるので、車をカスタマイズしたい人も購入のほうが向いています。

自分に合った選択をして、快適なカーライフを送りましょう。

近藤大助

【プロフィール】
近藤 大助自動車メディアでの執筆経験は約5年。エイチームの「ナビクルcar」や「トヨタの中古車アプリ・remobii」の記事のほか、八重洲出版のバイク専門誌「モーターサイクリスト」、中古車ガリバー、Keeper Proといった大手の出版社や企業の記事を執筆。「Yahoo!ニュース」掲載経験あり。

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